コラム

エリクセン試験について

「エリクセン試験」とはプレス加工の一種で「密着性試験」とも呼ばれ、材料の深絞り性(金属の薄板(0.1mm~2mm)などから継目のない底付きの容器を作るプレス加工を深絞りという)を調べる加工性試験に使われます。

エリクセン試験用の特殊な工具を使い、「しわ押さえ」と呼ばれる部分と「ダイス(穴のあいた基台)」との間に固定された試験片に、貫通亀裂が発生するまで球形のポンチ(直径20mmの鋼球)を押し付けてくぼみを形成し、くぼみの深さを測定することで密着性を調べます。
くぼみの深さをエリクセン値と呼び、エリクセン値が高い板材ほど成形性に優れていると判断します。主に、ニッケル、またクロムめっきのような硬い皮膜に適用し、自動車製品や家電製品などの部材として広く用いらます。
なお、試験前に試験片をハンマでたたいたり熱間加工又は冷間加工などはしてはいけません。試験温度は通常10~35℃の間で行いますが、注文者の要求のある場合は23±5℃で行われます。ポンチを押し込む速度は、標準試験片に対しては通常5~20mm/min、試験片の幅又は直径が90mm未満の試験片に対しては5~10mm/minと決められています。 製品規格で規定がない限り、少なくとも 3 回の試験を行い、エリクセン試験値はこれらの値の平均値とされ、試験値はミリメートル単位で表示されます。

密着性試験方法としては、エリクセン試験の他に「研削試験」や「へらしごき試験」や「押出し試験」や「ショットピーニング試験」や「バレル研磨試験」や「引きはがし試験」や「たがね打込試験」や「けい線試験」や「曲げ試験」や「巻付け試験」や「引張試験」や「熱試験」や「陰極電解試験」などがあります。
エリクセン試験方法と同じ原理による方法としてロマノフ試験がありますが、ロマノフ試験の押し込み深さは0~12.7mm まで調整でき、通常試験片が押し込まれて破壊するまで試験されます。