家庭用品や玩具などの雑貨品を初め、弱電機器や自動車部品等の工業用品に至るまで、広く用いられているポリプロピレンは、耐薬品性・耐溶剤制に、非常に優れている。反面、塗装・印刷などの加飾を行う場合、ベース樹脂表面が非常に安定であるが為に、塗料・インキを密着させるのに難を要する事が多い。
合成樹脂(プラスチック)には、結晶性樹脂と非晶性樹脂とがあり結晶性樹脂には、主題であるPP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)等があり、非晶性樹脂にはPS(ポリスチレン)・AS(アクリロニトリルスチレン)・ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)等がある。
PSやAS等の非晶性樹脂への印刷は、樹脂表面をインキ中のシンナーで侵し、樹脂とインキとを界面において融合させ、乾燥固化し、密着力を保持するが、PPやPE等の印刷においては、樹脂表面を侵すことなく、粘着によって、インキを密着させるという点において、大きな違いがある。
PPへの印刷には、大きく分けて、二つの方式がある。
工程上の手間・コストを考えた場合、本来未処理が望ましいが、前述のごとく、結晶性樹脂であるPPは、溶剤に対し、極めて安定で、密着そのものが、物理的粘着に頼る以外になく、不安要素が多い。
この不安要素を排除する手段として、次に述べる前処理を行う訳である。
密着を改善する手段として行われる前処理には、2つの考え方がある。
一つは、PP成形品自体の表面層を物理的化学的に粗し、アンカー効果を期待すると共に、各種官能基を付与する方法で、コロナ処理や火焔処理あるいはクロム酸処理やプラズマ処理がこれに該当する。
もう一つは、PPそのものを変化させるのではなくて、PP成形品とインキとの間に媒介となる層を設け、密着を改善するもので、プライマー処理と呼ぶ。
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