コラム

ニッケル合金とは

大気中500℃以下で安定する金属であるニッケルは特に耐熱性に優れており、海水、淡水、中性・アルカリ性塩類の水溶液などへの耐食性にも優れた材料で、塩酸、硫酸はかなりの耐食性はあるものの空気や酸化剤を含むと腐食してしまい、また硝酸、亜硝酸などの酸化性の酸や酸化性塩類には弱いとされていることから合金元素を添加して耐酸化性の高いニッケル合金も多く加工性には優れた金属のため冷間圧延、熱間圧延、引き抜き加工、鍛造が可能なため工業分野で多用されており、ニッケルそのものの特性として①353℃に磁気変態点がある、②結晶構造は面心立法格子、③加工性が優れていることが挙げられ、合金成分の含有量や種類によりいくつか分類されるもののニッケル合金以外のカテゴリーとして認識されているものもあり、主に耐熱性、耐食性を向上させたものが多く出回りその殆どには商標名があり、例えば、ハステロイ、モネル、インコネル、インバー、コンスタンタン、ユーリカ、アドバンス等ニッケル合金材料が商品化されています。ニッケルに添加される合金元素としてはV、Cr、Si、Al、Ti、Mo、Mn、Zn、Sn、Cu、Co、Feなどがありそれらを添加させる量で合金の性質が変わってきますが、耐食性に優れるので大気中に放置していても置割れが起きることがなく、水や海水にも安定という特性があり、有機酸に対しては常温、常圧では安定するものの高温になると浸食が見られ、塩類に対しては酸化性の強い塩類以外では安定しており、代表的なものとして構造材、容器、配管などに用いられるオーステナイト系の18%クロム8%ニッケル(18-8)ステンレス鋼、63%以上のニッケルと30%程度の銅からなる合金で耐食性に優れ、また海水中、高温、蒸気中などの腐食環境の部品に使われるモネルをはじめガス・タービンエンジン部品・熱処理治具等に使われる良好な機械的特性と高温における耐酸化性があるナイモニック系の耐食超合金の基本となるNi-Cr合金などがあります。