引張とは強度を表す一つとして用いられ材料の変形挙動の種類によって用語を使い分けられており、材料の強度を表す最も基本的な指標である引張強さは材料が耐えられる最大の引張応力をさし、それはひずみが大きくなることによって起こる現象として破断がありますがその寸前の状態が引張応力と言い、引張強さの大きいものを高強度、小さいものを低強度と呼ばれ塑性力学で言われる変形抵抗という概念もほぼこれと一致し、強度を表す引張強さ以外の方法として降伏強さ、延性、破壊エネルギー(靱性)、曲げ強度(抗折力)、硬度が挙げられ、例を取れば金属材料の強度試験では引張試強度、降伏点、伸び、絞り等があり、その他では圧縮試験、曲げ試験、せん断試験、硬さ試験、衝撃試験、疲労試験などがあり、鉄鋼用語での引張強さとはJIS Z 224に定められている引張試験において最大荷重を試験片の平行部の原断面積で除した値となり、ねじ用語で引張強さでは引張試験での最大荷重応力をさし、ねじ部分の耐えた最大荷重(最大引張破断荷重)をねじ部の有効断面積、または材料の破断部位での断面積で除いた値ですがボルト等の場合は破断位置に関係なくその時の最大荷重をねじ部の有効断面積で除いた引張強さを求めることになり、単位としてはN/mm2(kgf/mm2)を用います。
また鉄鋼においての強い、弱いは引張、即ち引張強さが基本となり引張に耐える最大の抵抗力をその材料の引張強さと呼び、単位としてMPa(またはkgf/mm2)であらわされ、記号はσBとなりますが引張強さのσBはどのようにして求めるかと言えば引張試験片を試験機にかけて引張試験を行い、この時の最大引張力(Pkgf)を試験片の元の断面積(Amm2)で割ったもの=P/A(kgf/mm2)を引張強さと定義し、この強さを増すには鋼中の炭素量を増加させて硬くする、或いは熱処理で硬くする方法が有効的となり、引張強さは鉄鋼材料のすべての強さのもとになるものでこれがわかっていれば降伏点(耐力)や疲労度などが概ね推定できます。