疲労破壊とは機器・構造物において一定の静荷重に加え周期的に変化する繰り返し荷重を受ける事によって発生したひび割れが更に繰り返されることにより少しずつ亀裂が進んで破壊に至り、一般的に破壊が起こるまでに繰り返される回数が104回以下を低サイクル疲労、それ以上を高サイクル疲労とに分類されていますがその繰り返し回数の閾値は定かでなく104~105程度で分類されることが多く、疲労破壊は静的な引張強さや降伏応力よりもかなり低い応力でも発生してしまい、その疲労断面はマクロ的にはビーチマーク、ミクロ的にはストライエーションと呼ばれる縞模様が見られることが特徴で前者は断続的な変動荷重を受ける場合に生じ通常は目に見える大きさの模様で後者はミクロ的サイズの模様となるため1つの模様は1負荷サイクルでの亀裂進展量に対応すると言われており模様の数を数えることでどの程度のサイクルにおいて破壊が生じたかを大筋で検討することができると共に模様の間隔は応力の大きさに関係していることからどの程度の応力が掛かっていたのかということも推察でき、このことから繰り返し荷重を長期に渡って受ける部材の設計の際はその応力レベルを低く設定するようにしなければならないと言えるでしょう。
本来亀裂は部材表面のごく小さな傷や溝等の凹凸や形状の急変等による負荷の集中部が起点となって生じることが多くその種類も多数ありますが一番多い現象がすべり変形となり応力軸に対して45°の角度に最も大きくなるせん断応力が働き引張り、及び圧縮応力が繰り返されるとすべり変形が蓄積し、入込みと言うくぼみと突出しと言う出張りが発生して部材表面が荒れていき、これが応力集中となって亀裂の起点となってしまうメカニズムでこれらすべり変形を始め疲労破壊の原因となる亀裂を予防する策として高サイクル疲労は表面粗さを小さくする事や表面に圧縮残留応力を与えて実質引張応力を下げること、破損部分以外の周辺部の振動の影響もあるのでその振動源を除去する等が挙げられ、低サイクル疲労では応力集中部の排除を始め応力解析が必要となります。