物質の疲労とは主に金属疲労として一般的に知られているが樹脂やガラス、セラミックスでも起こるもので物体が力学的応力を長時間、或いは繰り返し受けた場合にその物体の機械材料としての強度が低下する、或いは応力が集中する局部に亀裂が生じ、それが進行すると破壊に至ることがある現象で正式には疲労破壊(もしくは疲労)と呼ばれ、破壊面に独特の貝殻状波紋が見られるのが特徴で、振動や圧力変化により長時間繰り返し外力を受けている航空機の構造材などは疲労破壊の危機にさらされており、金属はその引張強さを超える応力を加えると破壊するが、強度よりかなり小さい応力でも繰り返し加えることで破壊することがあり、このような強度より小さい繰返し応力による破壊を疲労といい、材料のある部分に応力が繰り返して掛かる時に平均応力が一定の場合、応力振幅を縦軸、その材料が破壊するまでの応力の繰り返し回数を横軸にとって示した図をS-N曲線(S:stress応力、N:number回転数)と言い、軟鋼の場合のS-N曲線は一定平均応力の元では応力振幅の幅が小さいほど破壊までの繰り返し回数は増えるが、振幅応力が一定値以下となると繰り返し回数が増しても破壊しにくくなり、この荷重を疲労限度、または耐久限度と呼びアルミや銅などの非鉄金属には疲労限度はなく、構造物、機器の破損の実に80%以上はこの物質の疲労が原因と言われています。
では一体何故物質の疲労は起こってしまうのかと言えば、金属の持つ根源的な性質によるもので金属の特徴は加工により様々な形に成形することができるところにあることから金属が塑性(永久)変形するからで、金属の塑性変形は格子欠陥(原子配列の乱れ、しわ)、転位の移動によるもので転位の移動は小さな応力のもとでも可能となるため、転位の移動、即ち微視的レベルでのすべりが疲労の原因になっていると言えることから塑性変形を示す金属材料では疲労は必ず起こるものとされています。