コラム

耐熱性樹脂の構造

耐熱性樹脂とは高熱に耐えられる樹脂(プラスチック)のことで数百度の高温に長時間耐えられる樹脂もあり、耐熱性について言えば物理的耐熱性と化学的耐熱性の二つに分けられそれぞれの特性として物理的耐熱性は高温環境において機械的強度が大きく低下しないことと軟化等の物理的変化が生じないことで化学的耐熱性については高温環境において酸化や熱分解による劣化がないこと、化学変化を起こさないこと、連続して使用できる温度が高いことが挙げられ、これらのタイプによって耐熱化の方法も異なり本来のプラスチックでは実現できなかった耐熱について分子構造において熱により分子が運動しにくい(=変形しにくい→耐熱性に優れている)プラスチックが開発されています。

その構造として主鎖構造が強いと耐熱性も大きいことが分かり、主鎖が炭素(C)のみ幾つも繋がっている汎用プラスチックは熱により分子が運動しやすくそこに別の元素を入れ、更に六角形のベンゼン環等の構造を入れると主鎖が強固になり分子の運動を阻止し、耐熱性が格段に上がり、また結晶化度が高いと耐熱性も大きいと言え、分子の一部が等間隔に並んでいる部分を結晶と言いますがこれがプラスチックの中で増えると安定した状態となり分子の運動力が下がる、即ち耐熱度が上昇するわけですが有機化合物であるプラスチックは耐熱性に限界があり400度を越すと分解が活発となるため個々のプラスチック耐熱温度を把握した上で樹脂化する必要があると言え、耐熱性樹脂の機械的強度においては主鎖構造が強い、結晶化度が強い、繊維を充墳すると機械的強度も強くなり、また耐有機溶剤性については結晶化度が高いと有機溶剤に強くなります。
これは主鎖構造が単純なCの連続よりも別の元素を入れてベンゼン環が入ることにより強化されたプラスチックの分子は運動しにくくなるため機械的強度が強まることになり、ベンゼン環を含むものの一つとしてPEEK樹脂、PAI樹脂などがあります。