コラム

エリクセン試験の目的

エリクセン試験は世界中で最も知られた試験法でJIS2247に規定されており、金属薄板の張出し加工時の塑性変形特性を調べるものでその方法についてはしわ押さえとダイスの間に固定された試験片に断裂が発生するまで一定スピードでクランプし球頭パンチで押し上げくぼみを形成し、くぼみに亀裂が生じるまでの高さ(深さ)を計るものでこの値をエリクセン値(IE値)と言われ、エリクセン値が高いほど成形性に優れていることになり、試験に使用される試験片は厚さ0.1mm以上2mm以下、幅90mm以上の金属薄板となるが厚さが2mmを超え3mm以下の金属薄板や幅30mm以上90mm未満の狭い金属薄板にも適応することができ、ブランクの両面にはグラファイトグリースを塗布し、ダイスと板押さえ(しわ押さえ)に0.05mmのすきまを設けるA法と10kN(1.02トン)の力を加えるB法とがあり、製品規格で規定がない限り少なくとも3回の試験を行いエリクセン試験の値はこれらの値の平均値とし、試験値はmm(ミリメートル)単位で表示し、試験片の厚さはJIS Z 8401の規制Aにより小数点以下第2位まで求めることとなり、主にニッケル、クロムめっきのような硬い皮膜に適用します。

試験を行う際の温度は10~35度の間を原則としますが注文者より要望がある場合は23±5度とし、標準試験片のくぼみの中心は試験片のどの辺からも45mm以上離し、試験片が条(帯)の場合で複数回行う際は隣接するくぼみの中心間を90mm以上離し、狭い幅の試験片に対しては試験片の幅の中心をくぼみの中心とし、隣接するくぼみの中心間の距離を少なくとも金属薄板の幅以上あけ、衝撃を与えないようにパンチを移動して試験片に接触させ、この位置から押込み深さの測定を行い、その速度は標準試験片に対しては通常5-20mm/min、試験片の幅、または直径が90mm未満に対しては5-10mm/minとする。