コラム

亜鉛メッキの耐食性の特徴

亜鉛メッキは耐食性に優れており、鉄のものに亜鉛メッキを施すことで鉄をさびから守る防食手段として利用されます。

鉄のものをそのまま放置すると当然鉄はさびてしまいます。鉄はいったんさびるとどんどん錆が進行していきます。そういったさび(腐食)を防ぐために亜鉛メッキを施すのですが、亜鉛メッキを施すと鉄よりも先に亜鉛がさびてそのさびが薄い膜になります。亜鉛はそれ以上はさびが進行せず、その薄い膜が表面を覆う形で鉄を保護し鉄がさびるのを防ぐことができます。亜鉛のさびる速度は鉄よりもかなり早く、使用条件によっても異なりますがその耐食性は鉄の10~25倍あるといわれています。このことを保護被膜作用といいます。

また、メッキでも他の金属メッキや塗装を施した場合、その皮膜に傷ができたり破れたりするとそこから鉄がさびてどんどんさびが進行していきます。一方亜鉛メッキの場合、その皮膜に傷ができても亜鉛が陽イオンに変化して鉄がさびるのを抑え保護する働きをします。亜鉛には鉄の腐食を防ぎながら消耗していくという自己犠牲的な性質があるのです。この性質は亜鉛独特のもので、犠牲防食作用といいます。

亜鉛メッキには電気亜鉛メッキと溶融亜鉛メッキの二種類があります。溶融亜鉛メッキは電気亜鉛メッキと比べて亜鉛の付着量が多いため、溶融亜鉛メッキのほうが耐食性に優れています。その耐用年数は使用条件によって異なりますが、同一の条件下なら亜鉛の付着量に比例します。使用条件としては、大気中、水中、海水中、土壌中などが考えられます。同じ大気中であっても屋内と屋外では屋内のほうがその耐用年数は5倍近くになりますし、屋外でも海に近い臨海地域では海に近ければ近いほど耐用年数は短くなります。亜鉛メッキは水中でも優れた耐食性を示します。水中ではpHと温度がその耐食性に影響します。海水中では水中より耐用年数は短くなり、干潮満潮の影響を受ける場所や波のしぶきがかかるような場所では耐用年数はさらに短くなります。土壌中では通気性や水分量、土壌に含まれている物質の種類や量、pHなどの影響を受けます。土壌と言っても泥や粘土質、砂利など様々ありその性質が耐食性に大きく影響します。