コラム

不凍液(JIS K 2234)向け金属試験片とは

「不凍液向け金属試験片」とは、「不凍液浸漬腐食試験」に使用するための試験片です。「不凍液浸漬腐食試験」では、液冷式内燃機関用冷却液(冷却液)の凍結防止及び冷却機構の防食用に使用するエチレングリコールを主成分とする不凍液中において腐食試験評価します。

試験片の材質には、アルミニウム鋳物・鋳鉄・鋼・黄銅・はんだ・銅があります。サイズは縦約50mm、横約25mmとし、厚さは、アルミニウム鋳物、鋳鉄及びはんだの場合には、約3mmとし、鋼、黄銅及び銅の場合には約1.6mmとし、試験片の中心に直径6.5mmの穴を開けます。

試験片は「金属腐食性試験」においては次のように扱われます。

試験前の準備としては、試験片や支持板及び金属スペーサの表面を研磨紙で磨き、アセトン(有機溶媒として広く用いられる有機化合物。身近な物質の中では、除光液として用いらます。)で洗って乾燥させ、室温でデシケーター(湿気を嫌う物を乾燥状態において保管するために用いる容器。)中に1時間以上放置した後、ノギス(長さを100分の5ミリメートル単位まで精密に測定する測定器。)を用いて各辺を測定し、全表面積を求めます。ただし、全表面積は孔の部分を埋めた1枚の板として求めます。

なお、研磨紙は異種の金属ごとに取り替え、洗浄した試験片は、きずや汚れなどが付かないように注意して取り扱います。不凍液を容器にはかりとり、それぞれに試験片を浸し、乾燥空気を毎分 100±10mLの流量で送り込み、不凍液を88±2℃で 336±2時間保ちます。試験中は不凍液量を確認し、蒸発損失分は水で補充します。

試験終了後は、室温まで放冷した後試験片を取り出して分解し、水道水でぬらしたナイロンブラシで付着物を取り除いた後水洗し、試験片を処理します。処理後の各試験片は、アセトンで洗って乾燥させ、室温でデシケーター中に1時間以上放置した後、各試験片の質量を0.1 mgのけたまではかります。