コラム

粗さ試験片とは

物の表面は一見滑らかで平坦に見えます。
しかし、加工工程により、うねりを含んで滑らかな表面から粗い表面まで常に粗さを持っています。

例えば、歩道用のマンホールの蓋は、通行する歩行者のすべり転倒事故を防止するために、表面のすべり抵抗を大きくすることが求められています。このすべり抵抗は、マンホール蓋の表面粗さ、表面のテクスチャ(表面の突起、模様などによる凹凸)などにより変化します。そこで、表面粗さおよび表面テクスチャを変化させた試験片を作製し、そのすべりを測定し、それぞれの関係を検討します。

一般的に、工作物の表面粗さを測定する場合、2種類の方法があります。
1つは機械式の粗さ測定機を用いて数値を求める方法、もう1つが予め加工方法毎に基準を満たして製作されている工作物と現品を視覚、触覚にて比較して判断する方法です。この後者の方法に使われるのが「粗さ試験片」です。「粗さ試験片」は用途範囲が広く、「設計室で仕上げの粗さを指示する場合」や「工作現場で工作中の粗さを知る場合」や「検査室で製品と図面の指示を照合する場合」や「外注係が下請工場との打ち合わせの場合」などに使用されます。

対象物の表面粗さは、訓練をすれば標準粗さ試験片と試験対象物を交互に指先でなぞることによって、ある程度の判定を行うことも可能ですが、厳密な数値化は期待できないので、「表面粗さ計」という専用の測定機を用います。粗さを出す方法としては、「ペーパー仕上げ」や「研削」や「形削り」や「正面スライス削り」や「スライス削り」や「丸削り」や「ヤスリ仕上げ」等があります。
粗さ試験片にはいくつか種類があります(下記参照。なお、下記の種類が全てではありません。)。用途は全て主に仕上げの粗さや、工作中の確認になります。

「平面粗さ試験片」「手仕上げ面粗さ試験片」「円筒外面粗さ試験片」「ガス切断面A粗さ試験片」「ガス切断面B粗さ試験片」「鋼板仕上げ面粗さ試験片」