コラム

ダンベル試験片とは

ゴム材料は伸縮性、弾力性などの特徴的な機械的性質を有しており、工業用部品、建築用資材および生活用品として広く普及しています。
このうち、合成ゴムについてはその用途に合わせて性質の異なる多種多様な材料が開発されており、その機械的性質を評価することは品質管理、新素材開発を行う上で非常に重要です。そのために必要なのが、ダンベル試験片なのです。

ダンベル試験片とは、加硫ゴム(生ゴムに硫黄または塩化硫黄などを混ぜて加熱し、ゴムの弾性を増加させるために作ったゴム。)の引張特性を求めるときに使用する試験片のことです。
試験片を一定の速度で引張り、「引張強さ(破断するまで引っ張ったときの力)」や「切断時伸び」や「引張応力(試験片を引っ張るのに要する力)」や「伸び(破断時の伸び)」 などを測定する試験です。試験方法は、通常ダンベル状に打ち抜いた試験片をチャック等で挟み、一方をロードセルに掛けもう一方を一定速度で引張る方法がとられます。基本的に試験片3個を引張ったときの中央値をそのゴムの特性としています。

この試験に用いる試験片は、ダンベル状1号形,ダンベル状2号形,ダンベル状3号形,ダンベル状5号形,ダンベル状6号形,ダンベル状7号形及びダンベル状8号形からなる7種類のダンベル試験片です。そのうち、ダンベル状3号形及びダンベル状5号を標準試験片とされ、ダンベル状1号形は伸びの小さい試料に、ダンベル状2号形は引張強さの小さい試料に、ダンベル状6号形試験片は幅が狭く標準試験片が採取できない試料に用います。
また、ダンベル状7号形,ダンベル8号形は大形の試験片を採取するには十分な材料がない場合にだけ用います。引張速度はダンベル状試験片によってことなりますが、500±50 mm/minの範囲の速度になります。試料及び試験片は、加硫又は成形から試験終了までの期間中は、光、熱など試験結果への影響が予想される外的要因にさらさないように保管します。